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当サイトへお越しの皆様、こんばんはm(__)m
いつもご訪問頂き、ありがとうございます(つ∀`).+°o*。.'

気が付けば、すっかり新年も明けてもう一月以上経っていますよ!!
仕事ゴトでちょっと忙しくて・・・なんて言っていたら。
年取るのが早い訳ですよ、これじゃ。

もう2月も中旬なんですが、今年初の投稿です。
「太陽と、月のあいだ。」
更新いたします。

今年もよろしくお願い申し上げます。m(__)m
一つ前のお話はコチラ→『太陽と、月のあいだ。-80-』



*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆*:゚・:,。*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆



『恨むことでしか生きられなかった。』と呟いたシンさんは、どんな過去を送って来たんだろう。
暗く荒んだ目をして海賊の世界に飛び込んだ若き日のシンさんは、どんな野望を抱いていたんだろう。

それはオレが今まで怖くてシンさんには聞けなかったこと。
聞いてしまったら、シンさんが遠くに行ってしまうような気がして、聞けなかったこと。

ねえ、トワさん。教えてよ。きっとあなたは知ってるはずだ。
シンさんはどんな顔をして、あなたの隣に寄り添っていたのか。
どんなことに怒り、悲しみ、喜んだのか。

そしてどんな笑顔を、あなたに向けていたのか。



***



初めてソウシさんやリュウガ船長と出会った時のシンさんは、今のシンさんからは想像もつかないほど荒れていたんだそうだ。
ホラツさんが教えてくれた、ランドルフ海賊団の頃、だろうか。
いつか海軍どころか味方と、それも身内といざこざを起こして破門にされるか殺されるかするんじゃないかと、ソウシさんは冷や冷やしてシンさんに目を掛けていたらしい。
その頃立ち寄ったとある町で、シンさんはトワさんを拾ってきた。
身よりのない子供らしく、他の同じ年くらいの子供たちから『海賊の子』と囃し立てられて苛められていたと。
それだけの理由で、とソウシさんはシンさんを叱ったが、既にしてシンさんに縋りつくように寄り添うトワさんを、船から降ろすことはできなかった。

シンさんは、その日から別人のように変わった。
トワさんという守るべき存在が出来、それまでのように自分の命も顧みないような無茶なことはしなくなった。
顔つきも優しくなり、思いやりの心が芽生えた。
トワさんも、人を疑うことしか知らなかった子供だったのがシンさんといることで彼を頼りにし人に甘えることを覚えたのか、明るく朗らかな人柄へと変わっていった。だからあながち、トワさんを拾ってきたのは二人にとって間違いではなかったと、ソウシさんはそこでようやく胸のつかえがとれた。

そんな二人を再び変えてしまったのが、イストーリオ海戦だ。
トワさんはその海戦で命を失い、生ける者ではなくなった。
シンさんはトワさんを失い、トワさんと出会う前のように自暴自棄になり、荒んだ人格に戻ってしまった。
『そのことでシンさんも死ぬ思いをしてその上、半殺しの目に合った』ってホラツさんも言ってたな。

「それでもその海戦を契機に、それまでよりももっと本格的に航海士としての技術を学び始めたのはシンの偉い所だったよね。あの子は本当に、努力家だから。」
「そうですね。それはオレも、そう思います。」
「だけど、シンは二度と、トワと共にいた時のシンに戻ることはなかった。時には冷酷ともとられるほど冷静で現実的な、シリウス海賊団が誇る立派な航海士になったよ・・・」
言葉としては褒めているのに、ソウシさんの顔はどこか浮かない表情だ。
ホラツさんが言っていた、『何年かしてしばらく振りに会った時は見る影もなくなっていて、まるきり今のシンさんになってしまっていた。航海士は熱くなりやすいよりも冷静な方がいい。リュウガ船長の立派な右腕として名高いしそれはそれで構わない』って思った頃か。

オレがそのことを思い出していると、「でもね!」と瞳を輝かせてソウシさんはまた顔を上げた。
「ミナトくんが来てから、またシンは良い風に変わって来たんだ。こんなことを言ったらミナトくんは気を悪くするだろうけれど、まるでトワが帰って来たみたいな、あの頃と同じ優しい顔をするシンになったんだ。初めはきみのこと、トワに似てるって思ったのは誰も否定しないだろう。でもミナトくんはミナトくんで、トワとは違う。そのことを一番身に染みて分かっているのはシンなんだ。だからね、トワの代わりなんじゃないだろうかとか、考えないでほしい。」

ソウシさんが、一生懸命オレのことを気遣いながら珍しく早口で話してくれるので、オレは思わず笑いがこみ上げてきてしまった。
「え?私、何かおかしなこと、言ったかい?」
「ごめんなさい。違うんです。ソウシさんがあんまりにもオレのために一生懸命になってくれるから、嬉しくて。」
見当違いのことを言って笑われたと思ったのだろうか。ソウシさんはホッと胸をなで下ろした。
「なんだ、そうか。なら良かった・・・。」
「ソウシさん、オレ、意外と大丈夫です。シンさんがオレのことをどう思っていたとしても、オレがシンさんを大切に思っていることに変わりはないから。」
そうなんだ。シンさんがオレのことをどう思っていようとも、たとえ誰もが否定してくれてもやっぱりシンさんはオレにトワさんの面影を追い求めていて、それでトワさんの代わりに目を掛けてくれていたんだとしても、そんなの関係ないんだ。
オレは、何があってもどこにいても、シンさんが大切で、大好き。
それがあれば、離れていても生きていける。

それを聞いて、ソウシさんは思い出したように先を続ける。
「ああ、違うんだ。別にきみにそのことを思い知らせようと思って言ったんじゃない。誤解しないでほしいな。」
ソウシさんに確かめるように顔を覗きこまれて、オレは頷くことしかできなかった。
「うん、いい子だ。本当なら、きっとシンはきみに知られたくなかったと思う。だけど、こんな時だからこそ私は、きみには知っていてほしいと思う。」
ソウシさんが言おうとしていることの、意図がオレにはまったく汲み取れない。
「・・・どういうことですか?」
「うん・・・私たちがギッデルンのギルド本部にいた時、シンにね、聞いてみたことがあるんだよ。」

『ミナトくんは、トワによく似ているね。』と。
それを聞いたシンさんの瞳の奥には、見過ごすほどのほんの一瞬翳りが見えたけれど、彼はすぐにいつもの、唇の片端だけクッと吊り上げた意地悪顔を貼りつけ鼻で笑って言った。
『全然似てませんよ。』と。
『確かに、最初にイカルガの酒場で酔っ払いに絡まれているアイツを見た時は、一瞬俺が初めてトワを見つけた時のことと重なって驚きもしましたけど、顔も性格も声も、トワとは似ても似つきませんよ。』
『そう・・・そうか・・・。』
『それに、ドクターだから言いますけど、俺は別に、トワへの供養のつもりでミナトの世話を焼いてる訳じゃありません。トワに似てるから惚れた訳じゃ、ないですから。』

そう言ってシンさんは、ソウシさんもドキッとするほどの優しい顔で、笑ったのだそうだ。


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2016.02.11 Thu l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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