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「太陽と、月のあいだ。」
更新いたします。
一つ前のお話はコチラ→『太陽と、月のあいだ。-74-』



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シリウス号に転がり込んでから、オレの人生は急に色付き賑やかになった。

海賊になった。船から落ちて死にかけた。好きな人ができた。海軍に捕らえられて処刑寸前まで行った。

もうこれ以上騒がしいことも驚くことも起こらないだろう。って、思ってた。
だって、ついこの間まで街の酒場でただただこき使われていただけの奉公人だったのに、一年も経たないうちにこれだけのことが自分の身に起これば、感覚も麻痺してしまう。
だから、この先何が起きても怖くない。そう思ってた。のに。

今また、驚くしかできないことが、足元で起きている。
この船の倉庫に、幽霊が、いる。



***



「さて、あれは、まだ君たちがシリウス海賊団に来る前のこと。」

船長は、その頃もちろんまだ海賊王でも船長でもなくて、とある海賊団の一員に過ぎなかった。
ソウシさんもそう。ただ、その前に医学生をしていたこともあって、その船の船医に師事して修行中の身だった。
ある日、一行はお宝を目指して密林の中にいた。
林を彷徨い河を越え、山奥の遺跡の中心に目指すお宝はあったが、どうやらそれは呪われたものであったらしい。
船に持ち帰ったとたんに熱病に浮かされる者、突然呼吸の止まる者、ふらふらと自ら海に飛び込む者が続出した。

船医として忙しい日々を強いられることとなったが、それはそれで修行になるから問題ない。四、五日でケロリと良くなる者ばかりだったのも幸いだった。
残るは、呪われた秘宝だ。
食料と薬剤の不足を補うために立ち寄った港で名高い霊媒師の噂話を誰かが聞きつけ、それを面白がったリュウガ船長と共にその霊媒師の元を訪れた。
霊媒師は言った。
『さる高貴のお方の霊が憑りついている』と。
それまでの経緯を事細かに説明したわけではなかった。持ち込んだお宝が見るからに高価そうではあったかも知れないが、それでも秘宝が祀られていた場所は、当時の海賊団の者しか知らなかったため信憑性は上がった。
その秘宝が祀られていた神殿、それは数百年前にそこに確かに存在した王国の、在りし日の王が建てたものだったから。

「その霊媒師さんが言うにはね、その霊は、何か訴えたくて出てきているのだから、その訴えを聞いてやれと言うんだ。彼女が精神を統一して霊との交渉を図ると、彼女の口からそれまで聞いていた霊媒師さんの声とは全く違う、か細い女性の声が聞こえて来た。」

かつての王国に帰りたい。父と母の元に還りたい、と。

船員たちには未だに原因不明の体調不良や脈動停止、意味不明は行動などが続いていた。治療を施せば四、五日で治るとは言ってもいつまでもこのままではかなわない。
仕方なく一行はもと来た道を引き返し、遺跡の神殿まで秘宝を還しに行った。
しかし秘宝を元あった場所に戻しても何も起こらない。
不審に思った一行が付近を捜索すると、現在の物とは姿かたちは違えど墳墓であるらしき物を発見した。
玄室と思しき空間の中央に棺らしき石の箱が二つ並べて置いてある。
蓋を開けて中を覗けば、王冠のような煌びやかな装飾を見に纏ったミイラが一体ずつ横たわっていた。
その胸に秘宝を抱かせてやると、外からの光の届かない薄暗い玄室の中に一際明るい光が満ちて、女性の声が響き渡った。
『ありがとう』と・・・。

その直後に、ソウシさんが、まるで天に昇っていくかのように光の中にすぅっと溶け込む、裾の長いドレスのような服を見に纏った、女性の影を見たんだそうだ。

ソウシさんがそう説明し終わった時。
航海室の奥にある、船長室につながる昇り階段への扉が、ぎぎぃっと軋みながら開いた。

「「うわあぁぁ!」」
重なった叫び声は、オレとハヤテさんのもの。
ソウシさん、シンさん、ナギさんの三人は、声こそ上げないものの揃って扉の方を振り向いた。
ついに船倉のアレが上からも・・・!?

なんて首を竦めたのも束の間、その扉から現れたのは、リュウガ船長その人だった。

「何やってるんだお前ら、こんな時間にこんな所で雁首揃えてよ。」
「船長・・・。」
良かった、船長室から降りてきたのが船長で。
普段なら当たり前のことなんだけど、常識では説明できないことが起きている今となっては、当たり前のことが嬉しい。
「実はね・・・」
ソウシさんがこの場を仕切っていた流れで、事のあらましを説明する。
ふんふんと興味なさそうに聞いていた船長だったが、だいたい聞き終わると下に行ってみると言いだした。

「誰かついてくるか?そうだな・・・ハヤテ?」
「いや、ちょ、ムリっす!おれはムリっすよ!!」
そうだな、と言って船長がみんなの顔を見渡している時点で自分が呼ばれると思っていたのか、船長の言葉に食い気味でハヤテさんは返事をした。
が、
「船長命令だ。おら、来いよ。」
「えー、もー、マジかぁ・・・」
あんなに嫌がっていたのに、がっくりと項垂れながらも椅子を引いて立ち上がるんだから、この船では本当に船長命令は絶対なんだなって思い知る。
ところが、自分はまぬがれたのでほっと一息ついていたら、それを目ざとく見つけたのか行きがけの駄賃とばかり、ハヤテさんはオレの首根っこを引っつかんで無理矢理立たせた。

「ミナトてめぇ、自分は関係ねぇってツラしてんじゃねぇよ。兄貴分がこれから大変な思いをするんだから弟分であるお前も分かち合えよ!」
「えー、勘弁して下さいよ!」
せめてもの抵抗を試みるが、それでも日頃鍛えているハヤテさんの腕力にはかなわない。
ズルズルと引きずられて首が服で締まって苦しいので、しぶしぶ了承した。
「わか、分かりました!分かりましたから手を離してください!」

先を歩いていた船長が、立ち止まって振り返る。
「要はアレだろ?幽霊の言い分を聞いて望みを叶えてやればいいんだろ?」
はっはっは、簡単なことだ、とまた前を向いて船長は歩き出した。

さっきまでみんなで額を寄せ合って、深刻そうに話しあっていたのがバカみたいだ。
オレも振り返ると、たぶんみんなが、この人には敵わないなって思いながら、それぞれ席を立ち上がろうとしていた。


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2015.10.07 Wed l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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