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「太陽と、月のあいだ。」
更新いたします。
一つ前のお話はコチラ→『太陽と、月のあいだ。-71-』



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海軍に捕まって処刑寸前の危うい所を、オレはまたしてもシリウスのみんなに助けてもらった。
そして、みんなに迷惑をかけた罰として、十日間連続張り番の刑を言い渡された。
シンさんもたまには様子を見に上がって来てくれて、お互いの故郷や家族の話をした。

海軍本部ザクセン中将であるシンさんのお父さんの話は、シンさん本人の口からは聞くことができなかったけれど、最初に思っていたよりずっと楽しく、そして何事もなく張り番が終わりそうだった十日目の夜。
生まれて初めて体験した、不思議な出来事が起こった。



***



オレはシンさんに言い付けられて、くるくると回るばかりで一向に方角を示そうとしない羅針盤の、代わりを探しに船倉へ降りてきていた。
航海室とは二階層違うこの階は、ついさっきシンさんに霧のことを伝えに来た時よりももっと冷え込んでいた。
まるで、真冬の雪が降り出す寸前の寒さみたい。
オレがバタバタと駆けたからか、部屋の扉が開いてハヤテさんが顔を出した。

「どうした?ミナト。うわっ、さみぃ!なんなんだよ!」
「実は・・・」
オレが手短に今起きていることを説明すると、
「分かった。おれも手伝って来る。」
と言って、上がって行ってくれた。

それにしても、ハヤテさんは廊下へ出るまでこの寒さに気が付かなかったんだ。
ギッデルンで船を修理している間にだいぶ陽気が暖かくなってきていたから、今は誰も部屋で暖房は使っていないはずだ。ということは、海水の温度が下がっているわけではないんだな。

じゃあなんでこんなに空気が冷たいんだろう。
分からないけど、今はとにかく羅針盤を持ってシンさんの所へ戻らなくちゃ。

ハヤテさんの開けっ放しの部屋を覗きこんでいた視線を船倉に向ける。
そこで目にした光景に、オレはたぶん、しばらく茫然として立ち尽くしてしまっていた。

なに、あれ・・・。

それを見て思い出したのは、イカルガの酒場で使っていた冷凍庫。
山の氷穴から切り出して来た氷をたくさん詰め込んで、肉や魚を一緒に入れて冷やして、腐らないようにするための倉庫。
その冷凍庫の扉を開けると、中に溜まっていた冷気が白い霧になって溢れ出してくるんだ。
客室を忙しく走り回って大汗を掻いている時に、冷凍庫へ行って食材を取って来いって言われると、あの冷気を浴びて涼むことができるのが嬉しかった。

でも、この船に冷凍庫はないはずだ。だって、氷が溶けるから。
だったらなんで、船倉の扉の隙間から、酒場の冷凍庫から出てくる冷気みたいな白い霧が漏れてくるんだ?

この寒さの原因が分かった気がした。絶対あれのせいだよ。
そうに違いないけれど、あの扉を開けるのが怖い。

様子を見に来させられたんだろう。ハヤテさんが階段をドカドカと駆け下りてくる音がする。
「おいミナト!何やって・・・」
そしてハヤテさんも、廊下に溢れる白く冷たい霧と、それが漏れてくるのが船倉の扉の隙間ということに気付いた。
「なんだよ、これ・・・!おいシン!シン!」
叫びながらまた階上へ戻っていく。
騒ぎに気付いたソウシさんとナギさんも、部屋から出てきて一様に驚いた。

ハヤテさんから事の次第を聞いたのかシンさんも合流し、この廊下に船長以外の全員が集合した。
「あ、開けてみろよ、ミナト!」
「ええ?!イヤですよ・・・ハヤテさん、お願いします!」
「ぜってぇヤだ!」
「お前ら、うるさい。」

オレとハヤテさんのやり取りに焦れて、シンさんがオレたちの間を割って船倉の扉をためらいなく開けた。
途端に、隙間から漏れ出ていた冷気なんて比じゃないほどの、真っ白な霧の塊に襲われる。
「・・・くっ」
「さみぃ!」「うわぁ!」
「スゴイね・・・」「冷凍庫みたいっすね・・・」
それぞれに感想を口にしながらなんとか冷気に耐えた。

霧の塊が過ぎ去ってしまうと、船倉の中の霧はオレの膝下くらいにゆらゆらと落ち着いた。とは言ってもそれが全部晴れた訳じゃないし、それどころかますます気温が下がっていくようだ。
扉を開けると正面は、船の左舷の内側になる。天井に近い所に丸窓がついているんだけど、そこに結露した水滴が白く凍っている。

冷気は奥から生まれてこちらへ流れてきているようだ。左手の階段室の壁から覗くように奥を伺うシンさんの後をみんなでついて行った。
ハヤテさんに押される形でオレはシンさんの後ろにいて、でも怖くて仕方がなくて、オレはシンさんの上着の裾を掴んでいる。
「シン、気を付けて。」
ソウシさんが背後から声を掛ける。
「はい。」
シンさんも慎重に答えて、懐に手を入れた。もしもの時のために、銃把を握っているんだろう。
「誰か、いるのか?」
シンさんは、船倉の奥の冷気が生まれてくる所へ向かって声を掛けた。
その時、そこにいた誰かが振り返った。

そう。何かが、じゃなくて、誰かが、なんだ。人なんだよ。オレには確かにそう見えた。
でも、船長があんなところに一人で声も立てずにいるはずがないしそもそも船長は冷気を生まないし、ここには船長以外の全員がいる。
じゃあ、一体誰なんだ?

その問いに、思いがけない人が答えた。
「トワ・・・!」
シンさんだ。
オレがシンさんを見上げると、シンさんも、信じられないという表情でその誰かを見ていた。


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2015.09.12 Sat l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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