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「太陽と、月のあいだ。」
更新いたします。

一つ前のお話はコチラ→『太陽と、月のあいだ。-69-』



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シリウス号に生きて戻ってきて、またみんなと一緒に航海ができるなんて、実は半分諦めていた。

オレの処刑寸前、あの往来でシンさんの名を叫び続けていた時。
あそこでシンさんが現れなかったらオレは潔く諦めるって、思ったけど。
本当は、まだ諦めていないフリをしていただけ。
半分は、もうとっくに諦めちゃってた。
助けてもらえればそれが一番いいけれど、何もかもへの執着を手放したら、それが一番楽かもなって。

でも今、シンさんが本当はオレとの最初の出会いを覚えていて、それをうっかり口にした。
もしあの時殺されて楽になってしまっていたら、オレはそれを知ることはなかっただろう。
だから、本当に生きてここへ帰ってくることができて、良かった。



***



「シンさんでも口が滑ることってあるんですね!」
「当たり前だろ。俺だって人の子だ。」
じろりとオレを睨む目つきは鋭いけれど、その口元はニヤリと笑っている。
冗談で言ってるって、オレにも分かって来た。
「そういや、ギッデルンで手紙は出せたのか?」
「あ、はい。捕まる前だったので出すことはできましたよ。気にしてくれてたんですか?」
「別にそういうわけじゃない。ただソウシさんが、そう言ってたのを思い出しただけだ。」
嘘だ。ホントは気にしてくれてたんだ。
「ふふ、それだって嬉しいです。ありがとうございます。」

今なら、少しくらい聞いても構わないかな。
シンさんはきっとこの先も、絶対自分から身の上話を打ち明けてくれたりしないだろう。
だけど今なら、話しても大丈夫な所なら、聞いたら教えてくれるんじゃないかな・・・。

「シンさんも、ご家族に手紙を出すことあるんですか?」
言葉を選びまくってやっと尋ねることができたシンさんの家族のこと。

「お袋は、俺がガキの頃亡くなった。兄貴は今、この世界のどこにいるのか、どこにもいないのかも分からない。手紙の出しようがない。」
『お前には関係ない』って、言われると思っていたオレの予想に反して、シンさんは答えてくれた。でも、その答えは衝撃的だった。
「あ、ごめんなさい・・・。」
「いや、別にいい。」
「じゃあ・・・聞いてもいいですか?シンさんのお母さんって、どんな方でした?」
「俺の母親か?そうだな・・・とても、綺麗な人だった。聡明な方で、優しくて、いつも笑っていた。」
そういうシンさんも今お母さんを思い出しているからだろうか、優しく微笑んでいる。普段めったに目にすることができないシンさんの微笑みに、オレの胸の奥がきゅんと高鳴る。
とても綺麗で聡明で、優しい人。まるで、シンさんのことみたいじゃないか。・・・いつも笑ってはいないけど。

「・・・お兄さんは?」
「兄貴は・・・別れた時、俺はまだ幼かったからあまりよく覚えていないな。お袋に瓜二つだって周りから言われていたのは覚えてる。俺はお袋似じゃないから、羨ましくてな。」
「へえ・・・じゃあシンさんはお父さん似なんですね?・・・シンさんのお父さんは、どんな方なんですか?」

本当はシンさんのお父さんのこと、海軍本部の牢獄の中でホラツさんから聞いて知っている。
だけど、そんな風に言いふらす形で知られたくない。
やっぱりシンさんの口から、オレに、教えてほしくて。

だけどシンさんは。
「俺には父親はいない。」
「えっ」
バッサリと切って捨てるようにそう言った。

「俺には初めから父親などいない。もう俺の話はいいだろう。お前はどうなんだ。」
話題を変えられてしまった。もうこれ以上聞くなということか。
しつこく食い下がれば、きっとシンさんは怒って降りて行ってしまうだろう。
それだけは嫌だ。

「オレも初めから親父はいなかったです。」
「・・・どういうことだ?」
「オレが生まれる前に、親父は出稼ぎに行った先で女を作ってそのまま蒸発してしまったみたいで。顔はおろか、名前も知りません。」
それを聞いたシンさんの目が、ほんの少しだけ細められるのを見た。
自分のお父さん・・・つまり、ザクセン中将と重ね合わせているんだろうか。

「そうだったのか。辛いことを思い出させたな。」
「いえ、大丈夫です。」
「ミナトお前・・・父親を恨んだことはあるか?」
「え?」
「母と自分を捨てて他の女に走った父親を、今まで恨んだことはなかったかと聞いたんだ。」

父を恨んだこと、かぁ・・・。
「そうだな・・・まるっきりなかった、と言ったら嘘でしょうね。でも・・・恨んでも仕方ないじゃないですか。」
「何故?」
「オレが生まれる前からいなかったから、それが当たり前だったし・・・本当のことを聞いた時は腹も立ったけど・・・恨んで過ごす毎日なんて、オレには耐えられませんよ。」
「俺は・・・恨むことでしか生きられなかったな・・・」
「・・・シンさん?」

最後のつぶやきは、オレに聞かせたかった訳じゃなかったのかも知れない。
遠くの星に話しかけるみたいにして呟いたシンさんの言葉は、風に攫われてしまった。

「何でもない。さて、夜が明けるまでサボらず見張ってろよ。」
「え?!シンさんもう降りちゃうんですか?!」
「当たり前だろう。誰かのせいで、身体中悲鳴を上げてる。ゆっくり休ませろ。」
「・・・はい。」

ニヤリと口の端を吊り上げながら、シンさんはマストを降りて行った。
最後に意地悪なことを言われたけれど、それでもオレの胸の中は暖かかった。
たぶんこれまで辛いことの方が多かったシンさんの過去。それを少しでも、オレと共有してもいいって思ってもらえて、嬉しかった。


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2015.06.11 Thu l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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