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「太陽と、月のあいだ。」
更新いたします。

一つ前のお話はコチラ→『太陽と、月のあいだ。-67-』



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海賊船シリウス号に身を寄せてシリウス海賊団の一員になってからというもの、オレは嵐の真っ只中に浮かんでいる小舟のようだ。
荒れ狂う波に激しく揉まれ、翻弄され、叩きつける風も雨も、止むところを知らない。
毎日が命がけだし、それが刺激的で心地いいと思ったこともないけれど、もう辞めたいと思ったこともない。

混乱のただ中で、このまま死んでしまったら楽になれるかな、なんて考えが頭を掠めたことはあったけど、それでもどうしても、死ぬ前にもう一度だけ、会いたかったんだ。
どうせ誰かに幕を引かれるなら、それはいつだって、シンさんがいい。



***



「無事で、良かった。」
溜息と共にそう言ってオレを抱きしめる腕に力を込めるシンさんの声は、心なしか震えているようにも聞こえた。
まさかな、あのシンさんが、オレが無事だったからって泣くなんて、と自分の思い過ごしを確かめるためにその腕の中で顔を上げた。

シンさんは、泣いてはいなかった。代わりに、怒っているような笑っているような、複雑な表情でオレを見ていた。
まだ、お礼を言ってない。
こんなバカでどうしようもないオレのために何度も命を懸けてくれたシンさんに、ありがとうございます、と言おうと思って口を開きかけて息を飲んだ。
シンさんの頬に、海軍が撃った弾が掠めたのだろうか、一筋の赤い傷が走っている。

「シンさん・・・傷が・・・!」
「ん?あぁ・・・どうりでヒリヒリすると思った。」
そう言いながら、シンさんは頬の傷に手をやった。
「ごめんなさい、オレのせいで・・・」
「まったくだ。お前のせいで俺が何度死にかけたことか。」
「・・・ごめんなさい。」
「フン、冗談だ。」

そう言ったまま、シンさんはまだオレを見つめている。
頬に当てた手を、オレの顎にかけた。
スッと伸ばした親指で、オレの下唇をなぞる。

「どうして俺は、お前を見捨てられないんだろうな・・・。」
「え?」
こんなに間近にいるのに、呟くように言ったシンさんの言葉は、上手く聞き取れなかった。
勘違いしちゃいけないって、思ったからかも知れない。
でも聞き直せる雰囲気でもなくて、オレはそのままシンさんの目を見つめることしかできないでいた。
そうしていると、シンさんの琥珀色の左目が徐々に近づいてくるような気がする。
このままだと、鼻先が・・・唇がくっついちゃいそう・・・そう思った時。
そばにいた馬がぶるると鼻を鳴らした。

ハッと二人、我に帰った。
お互いの息遣いさえ感じられる距離にあった顔を、あわてて逸らした。
そしてオレたちはまた、馬に乗って森を進んだ。
馬の背に揺られる間シンさんは一言も発しなかったけれど、その沈黙は決して居心地の悪いものじゃなかった。

シンさんが言った通り、鬱蒼とした森を抜けるといきなり海岸線に出た。
馬は、この辺に放しておけばギルドの人が連れに来てくれるらしい。
「ありがとな。」
そう言って首筋を撫でると、またぶるると鼻を鳴らして森の中へ入っていった。

船に戻ったら、ソウシさんが泣きながらオレに飛びついて来た。
船長にもハヤテさんにもナギさんにも、叱られた。
でもそれが、嬉しかった。
また生きてこの船に戻ってこられたんだ、って、実感できたから。

「二度とソウシを泣かせるんじゃねえって言っただろうが。船長命令だ。またこんな事があったらその時はただで済むと思うなよ。」
「はい船長・・・ごめんなさい。」
「分かりゃいい。オイ、ソウシ。コイツ傷だらけだから診てやれ。」
「はい。おいで。」
「あ、はい・・・シンさんも、怪我してます。」
オレのために受けた腕や顔の傷。早く治療しないと痕になってしまうかも知れない。
「俺は後でいい。船長。この後の針路ですが・・・」
シンさんはそう言って船長を連れ、航海室へと上がって行ってしまった。

ソウシさんの診療室で傷の手当てをしてもらった後、オレがいなくなってからギルド本部がどうなっていたのか教えてもらった。
ハヤテさんが血相を変えて戻ってきてからのシンさんの行動の素早さといったらなかったと、その時を振り返りながらソウシさんがしみじみと言う。
「船長もああいう人だからね。すぐにあのサロンにいた船長連中に声を掛けてくれたし彼らもみんな、ウチの船長に対して何らかの恩義のある人ばかりだから、話はとんとんとまとまった。だけど気づいたらシンがいなくて、短時間であっという間に斥候に話を付けて手筈を整えて帰って来たんだ。」

始めは牢獄に乗り込むのにハヤテさんが名乗りを上げてくれたらしい。
だけどそんなことをしたらオレと二人いっぺんに処刑されるのがオチだし、シンさんはハヤテさんがそう言うのも見越した上でホラツさんに話を持って行った。海軍からしてみればただの民間人として暮らしているギルドの斥候の方が、後々助け出しやすいから。

「私たちもね、奪還の援護をするって言ったんだけど、それだけはさせてくれなかった。船を回して待っていてほしいの一点張りで。」
「え・・・」
「この時とばかり、剣を振り回して日頃の鬱憤を晴らしたい船長でさえ説得したんだ。そうまでしてシンは、ミナトくんを自分の手で取り戻したかったんだね・・・。昔、シンが可愛がってた手下にトワって子がいてね。ひたむきで一生懸命なところが似てるからかな・・・。」


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2015.05.24 Sun l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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