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「太陽と、月のあいだ。」
更新いたします。

一つ前のお話はコチラ→『太陽と、月のあいだ。-65-』



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処刑。罪を犯した人間に刑をとり行うこと。
斬首刑。罪を犯した人間の、首をはねて刑をとり行うこと。

そんなこと、子供だって知ってる。

今まで18年生きてきて、自分がそんな目に合う日が来るなんて夢にも思ったことがなかった。
そんな劇的な人生を送ることになるなんて、想像してみたこともなかった。

捕らえられた牢獄の中でシンさんが送り込んでくれた斥候と会って、その彼にもらった石の矢じりで手首の縄を切って、前後を固める海兵たちに砂つぶてを投げつけて。

往来の真ん中でシンさんの名を叫び続けるこのオレは、まるで自分じゃないみたいだ。



***



海軍と海賊との全面戦争だとか、シンさんとシンさんのお父さんであるザクセン中将との直接対決だとか。
シンさんが周りからは恋人同士のように見られるくらい可愛がっていた弟分のことだとか、そもそもザクセン中将がシンさんのお父さんだったとか。
さっきから頭の中をあっちこっちへ行ったり来たり、勝手に沸いては出てきて飛び跳ねている。

でもオレはそのどれをも上手く考えることができなくて、ただただシンさんの名を呼び続けていた。

ザクセン中将が言っていた。
『シリウス海賊団の一員であるオレを処刑するとあっては、策を講じる必要がある』って。
オレがこうして牢獄から外に出た時に、何かが起こるということはきっと海軍も想定済みだろう。

オレの前後についていた年若い海兵たちは目をやられて動けないでいるが、崩れた人垣のせいで広くなった往来を、前から大勢の海軍兵たちが駆けてくるのは視界に入っている。
それがやけにゆっくりと感じられるのは、頭の中の時間の流れが狂ってしまっているからかも知れない。
海兵たちが駆ける様子が、演劇の舞台で普通の動きをわざとゆっくり演じているかのような、そんな動きに見えるから。
オレを取り残して、周りだけがどんどん動きを遅らせていき、ついには静止画の紙芝居のように目に映る。

耳の鼓膜が破けるんじゃないかと思うほど轟音を鳴り響かせていた大砲の音も、噴煙がこっちまで風で流れ続けているというのに、オレの耳にはまったく届かなくなった。
キイィィィン、と音の余韻だけを残して、急に静か。

ああ、オレはやっぱりあの海兵たちに捕まって再び手首に縄を巻かれ、そして何事もなかったかのようにあの断頭台へ連れていかれるんだな・・・

シンと静まり返った胸の奥から、やけに鮮やかにその考えだけが浮かんできた。
その時。

パン!パン!パン!
と乾いた音が3発、真っ直ぐにオレの耳を捕らえた。
「ミナトっ!」
聞き慣れた声が。
聞きたくて仕方なかったオレを呼ぶ声が。
オレを捕らえた。

素早く振り向きたいのに、身体が言うことを聞かない。
まるで自分で自分を焦らすかのように、ゆっくりと後ろを向いたその先に。

会いたくて、会いたくて。
顔を見たくて。その声でオレの名を再び呼んでほしかった人がいた。

「シンさん!」

シンさんは、白馬に乗って通りの角から現れるところだった。
左手で手綱を短く持ち、右手をオレに伸ばしてくれている。

オレは必死でもつれる両脚を動かし、両腕を彼に向かって最大限に伸ばした。

「掴まれ!」
シンさんはそう言って、オレを掬い上げてくれた。
飛びついたシンさんの首筋は、汗できらきら輝いていた。

「落ちるなよ!」
「はい!」

助かった・・・。
そう思った次の瞬間、消えていた音が怒涛のように押し寄せて来た。
未だ鳴りやまない大砲の音。船からなのか陸からなのか、もう分からない。
銃声と怒号。民衆の叫び声。
入り乱れて荒波のように襲い掛かってくるようだ。

馬の前に、駆け寄って来ていた海兵たちが壁のように立ちはだかり、オレたちに銃剣の先を向けた。
「打て!逃がすな!」
海兵の合図とともに発砲された弾がシンさんの左腕をかすめ、上着から血が滲んでくる。
だけどもシンさんはそれをものともせず、右手に握った銃で応戦している。
並みいる海兵たちの肩を、腕を、銃剣を、次々と撃ち抜いて怯ませ、右と左に割れる人波にしてしまった。
駆ける馬の勢いはとどまるところを知らず、このままでは彼らとぶつかってしまう、というところまで接近した時、シンさんがぐっと手綱を引き寄せた。

馬は一声けたたましくいななき、彼らの頭上を飛び越えた。

ふと横を見ると、目の前に断頭台がそびえている。
オレの首を切り落とすはずだった禍々しい刃は一瞬、名残惜しそうにギラリと光ってまだオレの血を欲しているように思えた。

「追え!逃がすな!」
呆気にとられていた、頭上を飛び越えられた海兵たちが我に返ってオレたちを追い始めた頃には、彼らはもう馬の揺れる尻尾の後ろで小さくなっていた。


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2015.05.14 Thu l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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