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「太陽と、月のあいだ」
更新いたします。

一つ前のお話はコチラ→『太陽と、月のあいだ。-62-』



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少し前まで死ぬ覚悟ができていた。
どうせ取るに足らない人生だ。誰の役に立っているわけでもない人生だ。

いつ終わるとも分からない繰り返しの日々の輪からやっと抜け出して、奉公人のままだったら見ることのできない風景や出会うことのなかった人たちに出会ってやっと輝きだした人生が唐突に幕を下ろす。
それだって、シンさんに助けられて、リュウガ船長に仲間にしてもらって、ソウシさんやハヤテさんやナギさんに目を掛けてもらって、海賊になっていなければ迎えることのできなかった終幕だ。
何者でもなかった頃のオレと比べたら、いっそ劇的で小気味いいくらいだ。

なんて、少し前まで思っていた。



***



「・・・ザクセン中将が、シンさんの、お父さん?!」

処刑の刻限までは眠ることなんて到底できそうもなくて、かといってのんびりと暇を持て余していることもできない檻の中。
オレに手助けをするために自ら名乗り出て、ここ海軍本部の奥深い牢獄までやって来てくれたホラツさんは、せめてもの慰めにオレにリュウガ船長のことやシンさんのことを語って聞かせてくれていた。

今までシリウスのみんなにそこまで立ち入った話を聞いたことがなかっただけに、罪悪感半分興味半分で聞いてしまっていたのだけど、そこまでのことをオレが聞いてしまっていいとは思えなかった。

「ああ・・・旦那は知らなかったんでやすか。あっしがお話を受けた時は、今本部にいなさる海賊団の並みいる船長たちを集めて海軍との全面戦争も辞さねえくらいの勢いだったから、てっきりそうまでして取り返したいお仲間って言うのはよっぽどシリウスの、取り分けシンの旦那にとっては大切なお人なんだろうと思いやして、そんなお人である旦那はもう知ってるとばかり・・・」
オレが、ザクセン中将がシンさんのお父さんだってことを知らなかったという事実を知って、ホラツさんは申し訳なさそうに言った。
「いやあの、ごめんなさい。気に病まないで下さい。大丈夫です。聞かなかったことにします。」
「すまねえです、旦那。」
「なんでホラツさんが謝るんですか。オレの為・・・じゃないにしても、こんな所まで乗り込んで来て下さったのに。」
「旦那・・・。」

それにしても、やっぱり船長はギルド本部の海賊団船長たちを集めて、オレの奪還作戦を立ててくれていたんだな。
それが意味するところはつまり、ただオレを取り戻すだけじゃない。
シリウス海賊団の面子を賭けた戦争だ。

オレたちがここギッデルンへ寄ったのはシリウス号修理のためという偶然のことだったけれど、そこはさすがの海軍本部と言わざるを得ない。彼らの張っていた網にオレたちは引っかかってしまったんだから。
だって、ザクセン中将が言っていた。『私は海軍の人間だ。シリウスの連中の顔は見知っている。』って。
そこへたまたま見慣れないオレがいたから、船長たちに揺さぶりを掛ける手駒として選ばれただけだった。その点では、脅されたり無理矢理連れられて一緒にいるわけではない、ということを瞬時に見抜いた海軍の目は、さすがと言ってもいいかも知れない。
そして、ザクセン中将が、一度は捕えたオレを船長の元へ帰したのは、船長への警告だったんだ。
オレがシリウス海賊団の弱点だと見抜いた上での、いつでもシリウスを見つけ出すことができるぞ、という警告。

ああ、あの時単独行動をしたことが心の底から悔やまれる。
オレは絶対に、シンさんのそばから離れちゃいけなかったんだ。

でも、そんなこと言っても今更遅すぎる。
この奪還作戦を失敗させることができないと分かった今は、もう後悔をする時じゃない。
オレはここで、死ぬわけには行かないから。

シンさんがいつどこで、どんな想いで父親であるザクセン中将と決別したのか。
そこに捕らえられた、オレ、というよりはその昔その手を離してしまった弟分の面影を、どんな想いで取り返しに来るのか。
オレには想像もつかない。
だけど、早くシンさんに会いたい。
会って、きっとシンさんもいつかのその日から続いている後悔の日々を、終わらせてあげたい。

そしてそれは、たぶんオレにしかしてあげられないことなんだ。
オレにも、シンさんにしてあげられることがあるんだ。

正直、ことここに至ってもなおバカみたいな思いが胸の中で渦巻いているのをずっと感じていた。
オレは、シンさんと四六時中を共にして、目を掛けて可愛がってもらっていたという弟分に、心の底から嫉妬した。
オレに最初から優しくしてくれたのは、いつか失ってしまった彼への代わりだったからなんじゃないか、なんてことも考えた。

でももう、いっそそれでもいい。
だって、オレは生きてる。
生きて、シンさんに触れて、声を掛けることができる。

『仲間は命がけで助ける』。
シリウス海賊団の、第一の掟だ。

ホラツさんが一生かかっても返せないと思うほどの、リュウガ船長にどれほどの恩義があるかはオレは分からないけれど、それがあるにしたってどこの馬の骨とも知れないオレを助けるために、海賊として捕まれば断首刑は免れない牢獄にまで乗り込んで来てくれたんだ。
オレは何があっても助からなくちゃならない。
それこそ命に代えても、失敗はできない。

『俺は、俺を信じる人間を絶対に裏切らない。お前が自身をシリウスの一員だと思っているなら、俺にとってお前はシリウスの一員だ。』
いつか、シンさんがオレに言ってくれた言葉を思い出した。
なんで忘れていられたんだろう。
あれはオレを、名実ともにシリウス海賊団の一員にしてくれた言葉だったのに。

オレは、シンさんを信じます。
「絶対成功させましょう、ホラツさん!」

そして、シンさんがシリウスの一員だと思ってくれている自分自身を信じます。


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2015.04.21 Tue l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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