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「太陽と、月のあいだ」
更新いたします。

一つ前のお話はコチラ→『太陽と、月のあいだ。-61-』



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海賊として海軍に捕らえられ、明日の正午に処刑をすると言われた時は、本当にオレの人生はこんなところで終わってしまうのだと思った。
だけど、半分はそうあってほしいと、残り半分はそうはあってほしくないとオレが思っていた通り、シリウスのみんなはこんな海軍本部の奥深くに人知れず存在する牢獄にまで、助けの手を差し伸べてくれた。

リュウガ船長がシンさんを介して送り込んでくれたその人は、ホラツさんと言うらしかった。
ついさっき初めて出会って、牢越しだから言葉を交わすだけで未だに顔すら見ていないというのに、彼がここまでの経緯を教えてくれる話の流れで、オレは思いがけずシンさんの過去に遭遇している。



***



シンさんの過去。
聞きたくないなんて言ったら嘘になる。
でもシンさんは、きっとオレにこんな形で自分の過去を知られてしまうことを、望んではいないだろう。

ああ、でも。
もしかしたらオレは、シリウスに戻ったら破門になるかも知れない。
シリウス海賊団からはもちろん、船からも追い出されて、もう二度と彼らと相まみえることはないかも知れない。
本当だったらシンさんの口から教えてくれる時を待とうと思っていたけれど、そんな呑気なこともう言っていられないんだ。

「その頃は、あっしもランドルフの親方んとこにいっとき身を寄せてたに過ぎねぇですから、細かいことは覚えてねぇですが・・・」

ホラツさんが、ランドルフ海賊団に一時身を寄せていた当時、リュウガ船長を初めとして今のシリウス海賊団のみんなも同じ船に居合わせていた。
と言っても、ランドルフ海賊団の一員だったわけではなくて、ランドルフ船長の直参であるリュウガ船長(もちろん当時まだ船長じゃない。)と行動を共にしていたから同じ船にいたらしい。
前に船長が言ってたヒョードル海賊団の時代かも知れない。
オレにはまだ、そういう海賊団同士の仕組みがよく分かっていないから、直参だの傘下だのって言われてもいまいちピンと来なかった。

その頃シンさんはまだ10代。
血気盛んで今よりもっとずっと感情豊かだった。
見かける度いつも、弟のようにして可愛がっていた手下を連れていて、彼と一緒にイタズラを仕掛けて笑ったり、他の乗組員に叱られて泣いていた。
今のシンさんからは、想像もつかない。別人だったんじゃないかとすら思えてくる。

ある日、弟分が今のオレのように海軍に捕らえられた。
当時はまだ、海賊団同士の横のつながりもなく、海賊行為だけじゃなくて海賊団同士だって殺し合い奪い合うのが当たり前で、同盟を組んだ次の日に裏切られるのも想定しておかなければならない、みたいな、混沌とした時代だった。
フリッツさんやホラツさんのように、斥候の役割をしながら街に溶け込んで暮らしている組合の人もいなかった。
そりゃそうだ。ギルドを作ったのはリュウガ船長なんだから。
だから、大きな海賊団から独立した他の海賊団同士、直参だ旗本だといって集まっても、統率の取れた行動ができなかった。
仲間が海軍に捕まっても、助ける術がなかった。
それで、シンさんが弟分を助けるために一人で海軍に乗り込もうとして寸でのところで止められ、半ば幽閉されるみたいにしてそれを阻止されたんだそうだ。

「そんなに仲が良かったんですか・・・。」
「仲がいいどころの話じゃござんせんや。シンの旦那は、そいつのことを本当に可愛がってらしたから。ありゃぁ単なる弟分なんかじゃねぇ、まるで初心な男の初恋だな、なんてからかう奴もいたくらいで。」
「・・・。」
「それから何年かしてしばらく振りに会った時は、その頃のシンの旦那は見る影もなくなってて、まるきり今のシンの旦那になっちまってました。それが悪いというわけじゃなくて、航海士ってぇのは頭が沸いちまうよりかは冷静な方がいいですからね、シリウスの旦那の立派な右腕として名も高いですしいいんですが、旦那を頼むとおっしゃるシンの旦那の様子を見てたらふっとその時のことを思い出しちまいまして、あっしが自らここへ乗り込むと申し出たんでやす。」

シンさんが、命を賭けても助け出したかった弟分。
オレは彼の顔も名前も知らない。
知らないし、彼はもうこの世にはいないのに、オレは今その彼に会いたくてたまらなかった。
どうしてそんな風に思うのかは分からない。
会って、どんな言葉を掛けたいのか、それすらも分からない。
でも、会いたい。会って、彼を抱きしめてあげたかった。

そんなこと思うなんて、おこがましいっていうのは十分すぎるほど分かってはいるけどさ・・・。
分かってはいるけどその上で思うんだ。
シンさんは、オレに彼の面影を見ていたんじゃないかって。
だからシンさんは初めからオレに、まぁシンさんなりに、ではあったろうけど、優しかったし色々目を掛けてくれたんじゃないかって。

シンさんに心惹かれている今なら、彼の気持ちが分かる気がする。
だってオレも、シンさんの隣で生きたいから。

ホラツさんの語るシンさんの話を聞いてぼんやりとそんなことを考えていると、彼は言った。
「あっしもシリウス海賊団には、一生かかってもお返しできねえほどの恩義がありやす。それにこの度は、お父上との直接対決になりやすからね。シンの旦那たちも何としても旦那を助け出さなくちゃ面子が立たねえだろうし、旦那も心して掛かってくだせえ。」

・・・え?
今ホラツさん、何て言った・・・?

「お父上・・・って、誰が、誰のです?」
「海軍中将、ザクセンが、シンの旦那の、でやす。」


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2015.04.11 Sat l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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