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夢であってほしいと願った。
または、中将があの晩のように『ヤマトへ帰してやる』ってまた言ってくれるんじゃないかと心の隅でチラッと思った。

でもそのどちらも間違いだ。

砂浜で首にチクリとした痛みを感じたのは、どこからか狙われて麻酔針を打ち込まれたからだった。
オレは確かに、海軍に捕らえられたんだ。

冷たく錆びた鉄の格子を間にして、海軍中将、クラウス・フォン・ザクセンは、身も心も凍りついてしまいそうな冷やかな眼差しをオレに向けている。

「海軍に捕らえられた海賊の末路がどうなるか、知っているか?」
と中将はオレに尋ねた。
海軍に捕らえられた海賊の末路。
それは、断首刑だ。

罪を犯していてもいなくても。
ただ海賊である、それだけで。

首を刎ねられ殺される。

オレがそうなる運命だって、この人は言ってるんだ。
・・・なんだかピンと来ないな。

結局中将に何も言い返すことができないまま黙っていると、通路の向こう側から若い軍人が駆けて来た。
「中将、お戻り下さい。緊急にて会議を行うと。」
「分かった。すぐ向かう。」
「はっ」

若い軍人は、元来た方へまた駆けて行った。
中将はオレをゆっくりと振り向く。

「曲がりなりにも貴様はあの海賊王リュウガ率いるシリウス海賊団の一員だ。そんな貴様を処刑するとあっては策を講じる必要もあろう。シリウスの航海士は頭が切れるようだが・・・ここは海軍のお膝元。貴様ごときを助けるために飛び込んでくればそれこそ飛んで火にいる夏の虫だ。いっそ一網打尽にして並べてその首を打ち落としてくれよう。」
そう言って、踵を返して去って行った。



オレはまた一人、石の小部屋に取り残された。
膝を抱えて考えるのは、自分の頭がこの首から切り離される瞬間じゃない。

シンさんのことだった。
シリウスの皆のことだった。

オレがいなくなったことが分かったら、きっとハヤテさんはシンさんに怒られる。
そしてきっと、手分けして探してくれる。
オレだったらそうする。

フリッツさんみたいに、街に溶け込んで生活しているギルドの人にも協力してもらうかも知れない。
そうやって暮らしている人がこの街にどれほどいるか分からないけれど、きっとこの間オレを助けてくれた時みたいに、総出で探してくれる。

だってシリウス海賊団は、海賊王が率いている。
今は独立して少ない人数で小さな帆船で航海している海賊団だけど、傘下はいっぱいいるってハヤテさんが言ってた。

もしかしたら今頃は、その傘下の海賊団にも呼び掛けているかも知れない。
現にギルド本部には、シリウス以外の海賊団の船長もたくさんいたんだ。

オレは、本当の意味でシリウスの皆の仲間になってから日が浅い。
でも、シリウスには掟がある。

『仲間は命がけで助ける。』

オレがまだ海賊になる前だって、そうやってオレを助けてくれた皆だ。名実ともにシリウス海賊団の海賊になった今なら尚更、何をさて置いても助けようと、思ってくれているはずだ。

・・・もし逆の立場だったら、オレも絶対そうするから。
もっとも、他のみんなはオレみたいなこんなバカなヘマはしないだろうけど・・・。

とにかく、海賊王の手下を救うために多くの海賊団が海軍に歯向かう。
つまりそれは、海軍と海賊の全面戦争を意味する。
そうなったら、この間の時みたいに空き家が爆破されるくらいじゃ済まないかも知れない。
誰かが怪我をしたり、最悪の場合、命を落としたりするかも知れない。

・・・助けに来ないでほしい。
こんなバカなオレなんかのために。

ここでオレがこの首を刎ねられて殺されるのは、それは自分のしたことの結果だから仕方ないと思える。
だけど、そのために他の人が傷ついたりするのは耐えられない。


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2014.10.18 Sat l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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