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仄かなランプの灯りのもとで、シンさんととりとめのない会話を交わしている。
そんな些細なことが嬉しくて、胸の奥がきゅうっと締め付けられる。

カテリーネさんとの関係を勘ぐって聞いたら、そんな風に思われることの方が屈辱だと怒られたけれど、それよりもオレにとっては、彼女(いや、元男だそうだから、彼?)とは何もなかったと否定してくれたことの方がよっぽど嬉しかったのだけど。

そんな話をする最中、ランプの炎が消える直前に大きく燃え上がった灯りに照らされたシンさんの、普段は眼帯で隠されている右の瞳が緑色に見えて、オレは自分の目を疑った。
ランプの炎は燃え上がった次の瞬間にはもう消えてしまって、今は部屋の中を漆黒の闇が包んでいる。
窓のないこの部屋に、光源はドアの擦りガラスから洩れる廊下からの灯りだけ。
やっと目が慣れてきても、なんとなくシンさんの肩のシルエットが浮かび上がっているのがうっすら分かるくらいの僅かな光だ。

一瞬だったから、見間違いかも知れない。
光の加減でそう見えただけかも知れない。
だけどもしそうだとしても、その緑色の瞳はある人物をオレに思い出させた。

昼間会った海軍中将、ザクセンさんだ。

もしもヤマトに帰る気があるなら、今夜半フリッツさんの店の前で待っていろと言っていた。
『今夜半』てのが一体何時の事を指すのか分からないけど、でもきっともうとっくに過ぎているだろう。
これでオレは、海軍からしてみても海賊の仲間入りを果たしたと言うワケだ。

ヤマトには帰りたい。
でも今は・・・。

この選択が正しいのか間違っているのか、分からない。
それでも、その答えを今求めるのは違う気がする。

だって、オレは後悔してないから。

そう思った瞬間。

「お前、後悔していないか?」
と、まるでオレの心の声が聞こえたかのようにシンさんが言った。

「・・・えっ」

「去り際に、あいつが言っていただろう。ヤマトへ帰るなら今夜フリッツの店の前で待てと。」
どうしてシンさんがそれを・・・。
そうか。あの時既にシンさんは店の中にいて、オレ達のやり取りが聞こえていたんだ。
「・・・そうですけど・・・今さら後悔することが何の足しになりますか。そんなものは、死ぬ時にまとめてすればいいと思っています。それに・・・」

「・・・なんだ?」

「オレにとっては、今シンさんやみんなと別れることの方がイヤです。そんなことしたら、そっちの方がよっぽど後悔します。」

ザクセンさんに会って話をしてからここへ至るまでが急展開だったから、シンさんと離れたくないためだけについて来たけれど。
やっぱりそれがオレの本心だ。

海賊として生きて行くことになって、少しも不安がないわけじゃない。
これから先、また船から落ちた時みたいな目に遭うかもしれないし、海軍や他の海賊達と争うこともあるかも知れない。

それでもし、命を落とすことがあっても・・・
やっぱりその時、オレはみんなのそばに・・・シンさんのそばにいたいよ。

シンさんはオレの言葉を聞いて、そうか、と息と一緒に囁くように言って、オレをぎゅっと強く抱きしめた。

「お前は、バカだ。」

そう言ってオレの髪を絡め、胸元に引き寄せる。
抱きしめているのはシンさんなのに、まるでオレに縋りついているみたい・・・なんて、ふっと思った。

誰よりも意志が強くて、自分にも他人にも厳しいシンさんが、何かに怯えて不安になることもあるのかな・・・。
そんなことあるはずもないけれど、なぜだかそんなことをぼんやりと考えていた。


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2014.09.13 Sat l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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