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ナギさんの料理を久しぶりに腹いっぱい食った。勧められるままに珍しく酒も飲んだ。
だから、ベッドに横になって目を瞑った直後、オレは気持ち良く眠りについたようだ。

それからどのくらい経っただろう。ふと目が覚めた。

窓のない部屋だから、月がどれくらい傾いたか分からない。機械仕掛けの時計は、大広間にしかなかった。
朝は何時頃起きたらいいか分からないから、大広間へ行って時間を確認しておこうかな、と思って身体を起こしかけた時、自分の身体なのに思い通りに起き上がらないのに気付いた。
壁側を向いて寝ていたから知らなかった。
よく見ると、オレの背後にシンさんがいて、その腕をオレに巻きつけるようにして抱き締められている。

「シンさん・・・」

嘘みたいだ。
船の中みたいに部屋数が少ない訳じゃない。それなのに、オレの所へ来てくれたのが信じられない。

シンさんの腕の中で寝返りを打つと、ほんのりと果実酒の香りがした。
オレも飲んだけど、シンさんも結構飲んでいたようだ。それでも全然いつもと変わらないのがシンさんらしい。

「ん・・・」

腕の中でオレが動いたのが分かったのか、シンさんも軽く身じろいだ。
それでふと顔を見上げると、いつもと違う所に気がついた。

シンさん・・・眼帯を外している・・・。

壁に掛けられたランプの灯りだけじゃはっきりと分からないけれど、少なくとも想像していたような傷痕などが目の上にあるワケじゃなさそうだった。
じゃあどうして、シンさんは右目をいつも隠しているんだろう・・・?

・・・そんなことはシンさんにしか分からないし、気にはなるけど眼帯を外したらシンさんがシンさんでなくなるわけでもあるまいし、別にオレにとってはどっちだって構わない。

シンさんが、他の誰でもなくこうしてオレの所へ来てくれた。
この先シンさんが、その過去を何一つ明かしてくれなくても、こうしてそばにいれば現在と未来を共有できる。

オレにはそれだけでもう十分だよ。

まだ酒に酔っている振りをして、オレもシンさんにしがみついた。
厚い胸板から、少し速い脈動が寄せた頬に伝わって来る。

想いを寄せる人とこうしていられる幸せがあるなんて。

オレは、初めて味わう身体の奥底から溢れて来るような感情に動揺しつつも、ゆっくりと目を閉じてこの身を任せた。
すると、頭の上から囁くようにオレを呼ぶ声が聞こえた。

「眠れないのか?」

「・・・いいえ、大丈夫です。」

そう答えてみて、もしかしたらこんなに穏やかな気持ちでいられるのは、オレがシリウス号に身を寄せてから初めてかもしれない、と気付いた。
「むしろ、今までにないくらい気持ち良く寝てました。」
そして言ってしまってからまた気付く。
これじゃ、シンさんに起こされて文句言ってるみたいじゃないか。

だけどシンさんは、フッと短く息を吐くように笑って
「そうだな。俺が来ても気付きもしないで、大いびきで寝ていやがったからな。」
と言った。

「えっ、ホントですか?!」
「嘘だ。」
「なんだ・・・。勘弁して下さいよ。」
拗ねた振りをしてシンさんに背を向ける。
本当は、こんなに密着して囁き合うように話をしているのが恥ずかしいだけだけど。

するとシンさんも、オレの背後で仰向けになったようだった。
そして、静かに言った。
「お前は不思議なヤツだな、ミナト。」


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2014.08.30 Sat l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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