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今まで生きて来た世界を捨ててシリウスのみんなと共に行くことを選んだオレは、シンさんに手を引かれて彼らの生きる世界に飛び込んだ。
ほんの少しも迷いがなかったと言えば嘘になるけど、オレが自分で選んだ道を、みんなは受け入れてくれた。

そして、オレが一番共にいたいと強く願う人、シンさんは、『いつでも俺の傍にいろ』と言ってくれた。
「それにしてもここは一体どこなんです?」

ここへ来る途中からずーーーっと疑問に思っていたことを、ようやく口にすることができた。
だって、あの部屋の入り口からここへ至るまでに結構降りたし歩いたし。
もともとギッデルンの地理が頭の中にないから、船がついた所と港町と、ここの位置関係がまったく分からない。

すると、船長がニヤリと笑ってこちらへ身を乗り出して来た。

「ここはな、ミナト。ギルドの本部だ。」
「へぇ・・・本部ですか・・・」
「どこに位置していると思う?」

本部がある場所がってことだよな?小さなランプの灯り一つじゃ足元もろくに見えなかったような細い回廊を、降りたり曲がったりして来たから見当もつかない。

「船を降りた辺りですか?」
「いい線いってるが、方角は全然違うな。聞いて驚けミナト、ここはな、海軍本部の真下なんだ。」

海軍本部の真下・・・ええっ?!
「じゃあ、この地上に海軍本部があるってことですか?!」
そんな所にギルドの本部を作るなんて、なんてとんでもないことを考える人なんだこの人は!!

「さすが船長だろ?普通は人里離れた断崖絶壁とかさ、そういう人目につかない所に隠れようとするのが人間のシンリってやつらしいけど、それを海軍本部の真下に作っちゃうんだから!」
ハヤテさんは、もう嬉々として自分の偉業かのように語る。
この人は、本当に船長のことが大好きなんだな・・・。

「断崖絶壁はそうなんだけれどね。海軍本部が灯台を擁している都合上、高低差があるんだよ。」
ソウシさんが付け足してくれた。

「なるほど・・・。あ、そう言えばまだお礼を言ってなかったですけど、さっきはありがとうございました。まさかあんな風に海軍の人に連れて行かれるなんて思ってなくて・・・。ごめんなさい。」
船に乗っている時はあまり走ったりしないから、シンさんのあんな風に肩で息をついたり額に汗が滲んでいたりするのを見たことがなかった。
だから、よっぽどオレなんかの為にみんな走り回ってくれたのかなって思ったんだ。

「あれには驚きましたね。」
と、運んできた料理を皿に取り分けながらナギさんが言った。
「そうだね・・・あんなに早く海軍が出張って来るとは思ってなかったから。フリッツのお陰で早く動けてよかったよ。」
「あの人はフリッツさんというんですか。キャプテンには世話になったからと言ってましたが、キャプテンって船長のことですか?」

隣の女性にお酒を注いでもらっていた船長が、チラリとオレを見て答えた。
「フリッツか?ヒョードル海賊団時代の同期さ。イストーリオ後、そういう風に港街に溶け込んで生きている連中もたくさんいるぞ。俺が海賊王の座に就いたら、堅気になりたがってた連中にはそうやって仕事してもらおうとずっと思ってた。ギルドのそもそもの始まりは、そういうことだ。」

「はあ・・・」
分かったような、分からないような。
これは、歴史の勉強から始めないと何も分からないかも知れない。

「まあ、今日はそういう細かい話は抜きだ。めでたく全員無事に揃ったことだし、まずはシンとミナト二人の無事生還祝いからやろうや!」
「はい!ほらミナト、ぼけっとしてないでナギ兄を手伝え!」
「あ、はい!ごめんなさい!」

ハヤテさん、宴好きそうだもんなぁ。

そうだな・・・とりあえず詳しい話は今じゃなくていいや。
オレは、ナギさんがさっき現れた扉の向こうへまた行こうとしているのを立ち上がって追いかけた。

長い廊下の突き当たりにまた扉があって、その先は厨房になっていた。
テーブルの上に食べきれない程料理の乗った大きなお皿がいくつも並んでいて、かまどではオレくらいなら屈んだら入れちゃいそうな程でっかい鍋で、おいしそうなスープが煮えている。

それらを目にした途端、オレの腹がぐうぅ・・・と盛大に鳴いた。

ははっ、とナギさんが声を出して笑う。
「お前はいつも、飯を見ると腹を鳴らすな。」
込み上げる笑いを抑えようともせずに、ナギさんは鍋の中身をかき混ぜ始めた。

「ご、ごめんなさい・・・おいしそうだから・・・」
恥ずかしくなって消え入りそうな声でそう言うと、ナギさんはオレを見て目を細める。
そして
「いや、料理人冥利に尽きるよ。」
としみじみと言った。


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2014.08.16 Sat l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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