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もう二度と後戻りできないドアを通り抜けて、オレ達はきらびやかな部屋にたどり着いた。
シンさんに、本当に自分達と一緒に行くのかと、何度も確かめられた。

それは、オレが名実ともに海賊になるということを意味していて、それが嫌なら踵を返して去って行っても誰も責めないと。

だけどオレは、共に行くことを決めた。

シンさんの温もりを知ってしまった以上、この先シンさんのいない人生なんていらない。
煙で霞む部屋を進むうちに、向こうの壁の突き当たりにこちらも豪華な彫刻の施されたドアを見つけた。
そこに船長達がいると、カテリーネという女性は言っていた。

シンさんがゆっくりとドアノブを押し下げると、ドアの向こうには今いる部屋よりももっと、豪華絢爛という文字が現実になったらこうか、と言う程飾り立てられた部屋が現れた。

さっき見た飾り照明なんておもちゃに見えるくらい、きらめく宝石のような透明な石がいくつも揺れる灯り。
美術館にでもありそうな、細かい所にまで細工が施された高価そうな家具や調度品。
お城の廊下に置いてありそうな甲冑や石像は、幼い頃絵本で見たことしかない。

壁も床も天井も、オレの乏しい脳みそでは何かに比べて表したりできない程、美しく飾り立てられている。

そんな、王様やお妃さまが現れそうな部屋の真ん中に、これまた昔の貴族が使っていそうな長椅子がひと揃いあって、そこにリュウガ船長をはじめとするシリウスの皆が揃っていた。

「来たか、シン。ご苦労だった。」
「遅くなりました。」

船長と短く言葉を交わしてシンさんが脇に避けたので、オレは正面から船長と向き合う形になった。
船長は、座り心地のよさそうな長椅子にどっかりと座り、その両側にキレイなドレスを着た女性を侍らせている。
そんな船長の姿は堂々としていて貫禄があって、海賊王の名に相応しい様に思えた。

「よく来たな、ミナト。歓迎しよう。」

船長はそう言って、手にしていた黄金の酒杯を目の所まで掲げ、傾けた。

それを聞いて、傍らに座っていたソウシさんが立ち上がり、オレを抱き締める。
「心細かったろう。よく頑張ったね・・・知りたいこと、聞きたいことが山ほどあるだろう。少しずつ説明するから、安心して。」
そう言って、窺うようにオレの顔を覗き込み頭をぽんと撫でるから、今まで抱えていた不安な気持ちが喉の奥から溢れそうになって、目の裏が痛んだ。

自分が泣きそうなほど緊張していたのを知って、慌てて下を向いて唇を噛むと、シンさんが今まで繋いでいてくれた手を一瞬強く握って離した。
「ここまで来た以上、もう後戻りできない。いつでもお前は俺の傍にいろ。」
「はい・・・」

「バカだなぁ、ミナト。お前がおれたちのこと喋るわけないって信じてたし、ヤマトに帰ったって文句なんか言わねえのに。」

ハヤテさんが、オレの手を引っ張って隣に座らせてくれた。
言ってる言葉の中身とは反対に、顔はにこにこ笑っている。

そこに、オレ達が入って来たドアとは別の扉から、ナギさんが料理のたくさんのったお盆を持って現れた。

「なんだ、ミナト、来たのか。」
ナギさんは、普段から何を考えているのか、その言葉や表情からはうかがい知れない人だ。
だけど、そのお盆をオレの前に置いて
「なら、食えよ。残すなよ。」
と言ってくれた。

・・・よかった。
シンさんと共に行くことは決めたけど、他のみんなが、特に船長が何て言うか想像もつかなくて、怖かった。

海軍中将の尋問から逃げて来たオレと行動を共にすることが、みんなを危険に晒すんじゃないかって。
だから、『ここでヤマトに帰れ』って言われるんじゃないかって、内心ビクビクしていた。

でも、違う。

シリウスの皆は、自分で自分の道を決めてここにいるんだ。
それにとやかく言う資格なんて誰にもなくて、だからこそ皆、それぞれ自分のことは自分で責任を持って生きている。

だからオレは、自分に自信を持とう。

誰に決められたわけでもなくて、オレはオレ自身がそう決めて、ここにいる。


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2014.08.09 Sat l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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