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「船長、宿に連絡取れました!」

洞窟内に突然元気な声が響いたのでびっくりしてそっちを見ると、ハヤテさんが海側から駆けこんできたところだった。

「おう、御苦労。じゃあエグモント、頼んだぞ。」
「はい。任してくだせぇ。」
船長達と話していたあの人は、エグモントさんというのか。
ヤマトの方では聞き慣れない名前だ。オレは一体どこまで来てしまったんだろう。

ソウシさんもオレを支えてくれながら立ち上がったので、その腕につかまってゆっくりと歩き出した。
起きた時よりずい分調子がいい。宿屋がどのくらい離れているか分からないけれど、これなら歩いて行けそう・・・そう思った矢先、ハヤテさんがつかつかとオレに近付いてきて、向こうを向いて背中を見せるとそのまま跪いた。

「ほら、負ぶされよ。」
「え・・・でも」
すると隣でソウシさんも「それがいいよ」と頷く。
「勘違いするなよ。お前の為じゃないぞ。街中で目立って海軍に見つかったら困るからだ。」
とは、シンさん。
「あ、じゃあ・・・」
何だかんだで結局オレは、ハヤテさんの広い背中に身体を預けた。

それを見ていたエグモントさんも、ヒゲの方が広い面積を占めているような顔でにっこり笑って、オレにウィンクして寄越した。
ちょっと恥ずかしいな・・・。

宿を取って来てくれたハヤテさんが先頭に立って歩き、洞窟を出る。
すると、目の前にいきなり急な石段が現れた。
「しっかり掴まってろよ。」
「はい。」
これは今のオレには無理な石段かも知れない。
・・・もしかしてシンさんは、オレが遠慮しないで負ぶってもらうようにする為に、ああいう風に言ってくれたのかな・・・。
なんて、ハヤテさんの広くてあったかい背中の上で考えた。

・・・やっぱりオレには、この人たちが殺したり奪ったりするところなんて考えることはできない。
考えたくない。
オレは、オレの目で見た皆のことだけ信じよう。



街道にさしかかると、宿に着く前に船長はシンさんを連れてどこかへ行ってしまった。
ソウシさんとナギさんは市場へ。ハヤテさんは、オレを部屋へ連れてきてくれてから船長達の後を追いかけて出て行った。
オレは一人取り残されて部屋の窓辺で外の景色を眺めている。

ここからは、港が見える。
海軍本部はこの反対側にあるそうだ。
だから眼下に広がるのは、オレがいたイカルガのような、活気にあふれる港町だ。

働いていた酒場には、いい思い出も思い入れもなかったから、シリウス号に転がり込んでからは思い出すこともなかったけれど、今になって思えば、あそこで新入りとしてこき使われていたことはオレの身になっていたんだな。
だって、新入りとは言え仕事があってああしろこうしろと言ってもらえるってことは、それだけで存在意義があるってことだ。

だけどこれからはそんなんじゃ足りない。
オレは、シリウスの一員だと、いつでも胸を張って言えるように、自分の居場所は自分で作らないとな。
その為にも、まずはこの原因不明の体調不良を直さなくちゃ。

試しにベッドから起きて立ち上がってみると、立ちくらみ程度に眩暈がするくらいで、すんなり立つことができた。
良かった。もうこれ以上、皆の迷惑になりたくない。

ドアを開けて部屋の外に出てみる。
そこはさほど長くない廊下で、似たようなドアがいくつも並んでいた。

階段の方から聞きなれた声がするなぁと思っていたら、廊下の角から市場へ買い物に行ったソウシさんが現れた。
「ミナトくん!起きたりして大丈夫?」
「はい。ご迷惑をおかけしました。」
「迷惑だなんて思ってないよ。心配はうんとしたけれど。」

まったくの赤の他人なのに、見ず知らずのオレを受け入れてくれた人。
いつも笑顔で優しい言葉を掛けてくれる人。
何をしても足手まといでしかないオレを、迷惑とも思わずに涙まで流して心配してくれる人。

だから、シンさんが想いを寄せる人。

敵うわけないじゃないか。
オレもソウシさんが大好きだもん。

「ありがとうございます。」
勝手にわだかまって強張っていた肩の力がスゥっと抜けて行くようだ。
するとソウシさんは、そんなオレを見て

「やっと笑ってくれたね。」

と言った。


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2014.06.21 Sat l 恋に落ちた海賊王 l コメント (0) トラックバック (0) l top

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